ここ最近Tiger Lake搭載のUMPCが立て続けに発表されました。GPDwin3とOneGx Proそれぞれ比較しつつ、用途別にどちらを買うべきか検討していきます。
[11/18]OneGxPro i5 processor versionが発表されたので、一部加筆修正しています。
[12/14]GPDwin3の詳細が判明したので追記しています。
基本スペック
GPDwin3 | OneGx Pro | |
CPU | Core i7-1165G7 Core i5-1135G7 | Corei7-1160G7 Corei5-1130G7 |
ディスプレイ | 5.5インチ(1280×720)268ppi | 7インチ(1920×1200)323ppi |
RAM | 16GB | 8/16GB |
ROM | 1TB SSD | 256/512GB SSD |
wifi | Wi-Fi6 | Wi-Fi6 |
SIMスロット | なし | あり(4G/5G) |
コントローラー | 取り外し不可(有線) | 取り外し可(無線/bluetooth) |
CPUの違い
GDPwin3がCore i5-1135G7、OneGx ProがCorei7-1160G7でOneGx Proのほうが高性能に見えますが、これは微妙なところです。
というのはCorei7-1160G7は省電力版で性能が抑えられたモデルになるからです。
改めて両モデルの性能を細かく比較をしてみましょう
[11/18追記]Corei5-1130G7はGDPwin3のCore i5-1135G7の省電力版です。ベンチマークを見る限りは性能は13%ほど下がるようです。
[12/14追記]GPDwin3でもCore i7-1165G7を採用するようです。何故かシングルコアが低く出ていますが、マルチコアと単精度GFLOPSはCorei7-1160G7との比較で15~20%高速です
Core i5-1135G7 | Corei7-1160G7 | Corei5-1130G7 | Core i7-1165G7 | |
コア/スレッド | 4/8 | 4/8 | 4/8 | 4/8 |
最大周波数(ターボ時) | 4.20 GHz | 4.40 GHz | 4.00 GHz | 4.70 GHz |
キャッシュ | 8 MB | 12 MB | 8 MB | 12MB |
バススピード | 4 GT/s | 2 GT/s | 2 GT/s | 4 GT/s |
GPU最大周波数 | 1.30 GHz | 1.10 GHz | 1.10 GHz | 1.30 GHz |
GPU実行ユニット | 80 | 96 | 80 | 96 |
TDP | 28W | 15W | 15W | 28W |
Geekbench 5, 64bit (Single-Core) | 1355 | 1494 | 不明 | 1314 |
Geekbench 5, 64bit (Multi-Core) | 4904 | 4436 | 不明 | 5874 |
iGPU-FP32パフォーマンス(単精度GFLOPS) | 1611 | 1687 | 1406 | 1933 |
バススピードやマルチコアのスコアはGDPwin3のほうが勝っています。ただ28WとCPUをあのサイズの筐体で稼働させると、熱は相当なものになりそうなので、消費電力を抑えて性能も控えめになる可能性はあります。
両社が公開している動画ではWitcher 3でGDPwin3は高画質設定で50~60FPS動作していて、OneGx Proは1280×800解像度の低画質設定で30~40FPSで動作しているようです。
もちろん同じソフトでもシチュエーションが違う(移動中と戦闘中)、いまだ開発段階の試作機であるということで、単純比較できることではないですが一つの指標にはなります。
[11/18追記]Core i5版OneGx Proも30~40FPSでほぼ同じ動作のようです。ただ画質設定がどうなっているかは不明です。おそらく設定は下げられていると思います
解像度の違い
GPDwin3が5.5インチ(1280×720)268ppiに対しOneGx Proは7インチ(1920×1200)323ppiと高解像度になります。
ただ、GPDwin3の画面が荒いかといえば決してそんなことはなく、画面のきめ細かさ(ppi)はiPad Proとほぼ同等です(iPad Proは264ppi)
5.5インチ(1280×720)はちょうどNintendo Switch Liteと全く同じですので、手元にある方は想像しやすいかと思います。
また、画面の解像度はそのままゲームの実行速度にも影響します。単純に1280×720より1920×1200のほうが画面はきめ細やかになりますが、動作は重くなります。
先ほどのWitcher 3のように内部解像度を変更してもよいですが、それでもアップコンバートに多少のリソースが割かれることになります。
ゲームの実行速度においてはGPDwin3、作業のしやすさにおいてはOneGx Proのほうが上かなという感じです。
SIMスロットの有無
大きな違いはOneGx ProはSIMスロットを搭載し単体でインターネット接続ができるという点です。これはUMPCに限らずwindowsPCとしても珍しい仕様です。
つまり単体でオンラインゲームがプレイできるということです。
もちろん家庭内wifiや有線接続には及ばないので、反応速度が求められるアクションゲームなどは厳しいと思いますが、MMPRPGぐらいなら何とかなりそうです。
コントローラーの違い
もう一つの大きな違いはゲームコントローラー部分です。
GPDwin3は筐体備え付け、OneGx Proは着脱式になります。
OneGx Proは筐体にはめ込んだ場合も筐体に”接続”されるわけではなく、あくまで”はめ込む”だけで接続はbluetoothのままです。
つまり充電の際は、本体と左右コントローラーの3つ必要になるということです。ここはちょっと不便な部分ですね。
switch風のコントローラーですが、switchと同じようには扱えません。
またbluetooth接続はわずかながら遅延も発生します。
動画を見る限りゲームプレイに支障をきたすようなことはないでしょうが、格闘ゲームなど操作がシビアなゲームでは気になることもあるかもしれません。
筐体・キーボードとUSB端子
最後に筐体部分になりますが、ここで気になるのはキーボードとUSB端子です。
まずキーボードですがサイズ的にはどちらも親指でタイピングするスタイルになると思います。普通のノートPCのように机に置いてのタイピングは窮屈でしょう。
それを踏まえてのGPDwin3ですが、詳細はまだ判明していませんが、決して扱いやすいようには見えません。
[12/14追記]静電容量方式によるタッチパネルになるようです。簡単な定型文やパスワード入力はともかく、文章入力はかなりつらそうです。
それでもキーピッチなどは前機種よりは改善されているようですが、両脇にゲームコントローラーもあるので、文章を打つのは少し厳しそうです。
あくまでパスワード入力とか、検索などのワード入力が主な使用用途でしょうか。
一方OneGx Proはキーピッチ14mmとかなり余裕があります。テーブルにおいて使うスタイルもできなくはないと思います。やりにくいと思いますが。
前機種では日本語キーボード版もリリースしていたぐらいのなので、キーボード作業も十分できるというのはアピールポイントでしょうね。
もう一つはUSB端子の位置です。
GPDwin3は筐体の下側、OneGx Proは筐体の裏側になります。
充電しながら使用する場合、あるいは外付けGPUを使う場合、GPDwin3はコードが邪魔になりそうです。L字型のコードを使えばよいのですが、気にはなりますね。
ゲーム目的ならGPDwin3
では、どちらを買うべきかというところですが、やっぱりゲームがしたい、それ以外のことには使わない、ということならGPDwin3のほうが良いと思います。
まず普通のノートPCと同じTDP28WのCPUのパワーは強力です。
そのうえ1280×720という低めの解像度は、ゲーム動作においてはむしろプラスであると思います。
その分windowsPCとしての使い勝手は良くありませんが、その辺りは割り切ったゲームに特化した製品であるといえます。
ゲーム以外にも使うならOneGx Pro
一方OneGx ProはCorei7とはいえTDP15Wの省電力版で、解像度も1920×1200と高く、ゲーム動作においてはGPDwin3に一歩劣る可能性は高いです。
[11/18追記]Corei5ではさらに性能は下がります。それでも前機種(Core i5-10210Y)よりははるかに高性能ではありますが…
ただ、高い解像度とまっとうなキーボード装備はwindowsPCとして扱いやすいです。
ゲームだけでなく、ネットサーフィンや文書作成もしたい、普通のwindowsPCとして使いたいという方はOneGx Proのほうが良いでしょう。
動画もフルHDで見れるというのは大きいですね。
Tiger LakeでUMPCが再び盛り上がるか
Tiger Lake世代で内部GPUが大幅に強化され、前世代のモバイルゲーミングPCに使用されていたIris Plus GraphicsやGeForce MX250を超える性能が発揮されています。
今回発表された2機種以外にも様々なUMPCリリースされるのではないでしょうか。
そういったものも今後紹介できればと思います。